これは、日本の一年間に行われる生殖医療行為(不妊治療)の数である。
そのうち約5万人弱の子供が、こうした生殖医療によって生まれている。
1999年では、生まれた子供の100人の一人だった。それが今では22人に一人にのぼるという。
今日は、横浜で行われた日本生殖医療学会の市民講座に出かけてみた。
日ごろ、私は最近の出生率の減少に関心があったので、たまたま新聞で見かけた講演会に出かけてみた。
ご存知の通り、晩婚化、女性の働き方の変化など、日本では出生率の減少が続いている。
女性の年齢が30歳で20.6%、35歳で18%、40歳になると8.8%になるという。
こうした状況に対応するように、近年の生殖医療技術の向上は、不妊に悩むカップルにとって、言わば駆け込み寺のようになっているらしい。
医師の話では、最近では男性の不妊原因も多く、不妊原因の半数が男性にあるという。
それを、精子の「酸化ストレス」という。
精子のDNAが損傷していて不妊につながっている場合も多い。
アルコール、たばこ、働きすぎなど、ストレスフルな生活が原因となるらしい。
しかし、こうした現状に男性側の問題意識は女性に比べて、非常に低いと指摘していた。
夫は、どうしても問題に向き合うのが嫌で逃げ腰になりがち。
夫婦げんかの大きな原因ともなっているらしい。
人工授精、体外受精、代理出産、卵子や精子の凍結保存、養子縁組や里親制度など、
子供を望む多くの夫婦が、様々な方法にチャレンジしている。
いろいろ頑張って子供を得る人、それでも得られない人。
多額の費用をかけて生殖医療によって、妊娠はしても、出産にまで行きつかない人も多い。
その努力はすさまじく、治療にかかわるトラウマも大きな問題となっている。
私には、子供が二人いて不妊治療はしたことがないが、友人が、以前不妊治療をして、ようやく授かったときの子供の話を思い出した。
その大変さが、今になって分かった気がしたのである。
NPO法人Fineの女性の理事長の話では、
不妊治療をしているときは、女性にとって一番つらい時期という。
そして、子供が生まれないで、治療をやめる時が、もっとつらい決断だという。
それを、カウンセラーの世界では、「卒業」と言っている。
「治療をやめるためには、どうしたらのでしょうか?」
どうしても諦められない女性から、多くの相談がFineに寄せられているという。
いったん始めたら、多額の費用もつぎ込むため、なかなかやめられなくなってしまう現状がある。
そして、なによりも期待を持ち続けた分、子供を諦めることの辛さが、さらなる悲しみへとかきたてるという。
会場にいる女性たちの繊細な心を気遣うように、医師やカウンセラーたちは、じっくりと言葉を選びながら話を進めていた。
今では、30代以上の夫婦の6組に一組は、何らかの不妊治療に取り組んでいるという。
子供をめぐる、多くのドラマが、今、ここ、そして世界中で繰り広げられているのである。
さて、地球には、森や川、海など、美しい大自然に満ち溢れている。
そこには、たくさんの動植物にあふれていて、人類は食べるものにも、着るものにも、住むところにも不足することがない。
生活に必要なものは何でも手に入れることができる。
そして、みなが平和で、豊かに暮らすことができる。
これが、本来の地球である。そのように神は世界を創造したという。
しかし、私たち人間は、貧困、戦争、暴力、格差、差別、病気に喘いでいる。
文明が発展したというのに、幸せにはなれず、とてもおかしな状況に陥っている。
だれもが、愛にあふれ、豊かで、喜びの人生を送ることができるはず。
子供にも恵まれ、幸せな家庭を持つことができるはず。
私たち人類は、この数千年の間に、何かをはき違えてしまったのかもしれない。
文明という美名により、生命としての大切なあり方を忘れてしまったのかもしれない。
地球には、人類のすべてが豊かになれる富が、もともと余りあるというのに。
今、まったく新しい生き方、新しい社会の在り方、新しい国の形が、とても必要になっていると思う。
そのことを、私は、いつも考えている。(^_-)-☆